第20章 明かされた事実
ふたりの会話を耳にして、僕もモモもいったいどんな話があるんだ?と視線を交わす。
姉「ちょっとショッキングな内容なんだけど」
そう言ってから話し出した内容は、ホントに驚くような内容で僕たちは一瞬言葉が出なかった。
岡「そう言われると自分もその話は耳にした事がありますね・・・まだうちの事務所が立ち上がる前の出来事だそうですが、それが奏音さんが在籍していた事務所だったとは」
姉「アタシが言うのもだけど、うちの社長は確かに愛聖をデビューさせる為に色々な事をしてたと思う。けど、事務所の力関係もあるから、うちの事務所だけがそういった圧をかける事をしている訳でもないの。だから愛聖を女子トイレで見つけてあの子の楽屋まで連れてって話を聞いた後、もっと驚く事を聞かされたわ」
「もっと驚くって、愛聖は何を?」
普段から飄々としている姉鷺さんが驚いたとなれば、どんな事で驚いたのかと思うのは僕だけじゃないはずだと話の続きを求める。
姉「あの子の、このテレビ局で起きた事件・・・だけど。それをどっかの馬の骨の奴らに指示したのは、他でもない奏音だって事」
百「はっ?!なんでそんな事を?!」
「モモ、とりあえず落ち着いて聞こう。さ、続きを」
思わず声を荒らげて立ち上がるモモを宥めて座らせ、更に姉鷺さんに続き話してくれと促した。
姉「愛聖がトイレに入ったら、ちょうどそこで鉢合わせたって。誰もいないと思っていたのに人がいたから驚いたら、何をそんなに驚くんだ、自分が仕事がない人間だとでも思ってるのか?って流れから一方的に色んなことを言われて、そういう話が出たらしいの。それに、奏音自体の境遇が愛聖に似ていて相当なショック受けたみたいね」
岡「境遇が似てるとは、例えばどういったことです?」
姉「デリケートな部分でもあるけど、つまりのところ母親を亡くしてるって事よ。愛聖の母親の事は知ってるわよね?」
愛聖の母親の事と言えば、僕たちどころか業界関係者なら少なからず知っている内容だと返せば、姉鷺さんはそうだと頷いて話を続ける。
姉「私も今日、愛聖から聞いたんだけどね。奏音の母親も同じように亡くしてるらしいの。それもドラマデビューが決まりかけて、やっとテレビの仕事が出来るってなった、その直後にね」