第17章 見えない未来
あの日から1週間程経って、私の周りでおかしな事が起きない事を確かめて。
明日から寮に戻る事にしたと、三月さんに電話をかけた。
三 ー おぅ、分かった!オレからみんなにも伝えておくから。あ、そうだ!愛聖、明日の夕飯は何が食いたい?明日は大和さんと買い出し行くから食べたい物があるなら今のうち聞いとくぞ? ー
『なんでも大丈夫です。三月さんの作ってくれるご飯、どれもみんな美味しいから』
三 ー でも、その、わがままのひとつくらい・・・聞いてやるからさ・・・ ー
三月さんは多分、まだあの時の事を気にしてるんだ。
自分のせいで私が寮から離れてしまったと、そういう風に自分を責めていたという事を二階堂さんから聞いた。
本当は、三月さんのせいなんかじゃなくて私が意固地になってたのに。
それでも、三月さんが私の食べたいものをリクエストするだけで気持ちが収まるのなら、そうした方が上手く纏まるのかも知れない。
『じゃあ・・・せっかくなのでお願いしちゃおうかなぁ?なんて』
三 ー いいぜ?何がいい? ー
『前にも作ってくれた、鶏ひき肉のロールキャベツがいいです。あの優しい味、凄く好きです』
三 ー 分かった。リクエスト受け付けた ー
それから少しの間、三月さんとはいろんな話をして。
笑ったり、ちょっと拗ねてみたりして。
そして最後に三月さんが・・・
三 ー 愛聖。本当はちゃんと顔見て言わなきゃだけど・・・・・・ゴメンな・・・ ー
『それは私もですよ、三月さん。あの時、ちゃんと冷静になれなくてゴメンなさい』
三 ー オレ、さ?一織みたいになんでも完璧じゃないし、大和さんみたいに演技力もない。陸みたいに歌が上手い訳でもない。だけど・・・オレはオレで頑張るって決めた。こんなオレでもいいって言ってくれるファンがいるんだから、やるしかねぇだろって話しで ー
『三月さんでもいいんじゃなくて、三月さんだから応援したいっていうアイドリッシュセブンのファンのみんながいるんです・・・その中に、私もいます』
三 ー だったな。とにかく!頑張るっきゃねぇじゃん?それから、また愛聖が心折れそうになったら、いつでもお兄ちゃんしてやるからな? ー
『・・・いいんですか?どさくさに紛れて、ナギさんみたいにギューってしちゃうかも知れませんよ?』