第1章 兵長の身長がめっちゃ伸びた話
だが、そうそう上手い話はない。
次の日の朝目覚めると、リヴァイの身長はまた元通りになっていた。
「……儚い夢だったな」
ダボついたシャツやズボンを見て、リヴァイは小さくため息をついた。
食堂に向かう途中、と廊下でばったり出くわした。
「あっ、先輩、身体が…」
「あぁ、今朝起きたら元に戻っていた」
よほどリヴァイが残念そうな顔をしていたのだろう。は思わず笑ってしまった。
「先輩、背の高い先輩も格好良かったですけど、やっぱり私はいつもの先輩の方がいいです」
にこっ、と花の咲いたように笑うを見て、リヴァイもつられて笑った。
ぽん、と、自分よりも少し低い位置にあるの頭に手を置く。
「このくらいの高さがちょうどいいのかもな」
そう言ってリヴァイは、のサラサラとした髪を撫ぜてやった。
それを物陰から見ているハンジとモブリット。
「…やっぱりあの二人は可愛いよな!二人がもっとイチャイチャできるようにイベントを作るのが、私の使命だ!!」
「分隊長…兵長とは放っておいても仲良しなんですから、これ以上面倒な事を起こさないでください…」
モブリットの大きなため息は、残念ながらハンジの耳には届かなかった。