第1章 兵長の身長がめっちゃ伸びた話
「リヴァイ、お疲れ様。ちょっと休憩しない?」
リヴァイが自身の執務室で事務処理をしているところへ、紅茶を淹れたカップを持ってハンジがひょっこりと顔を出した。
「……何か変なモン入ってねぇだろうな…」
今までの経緯がありすぎるため、リヴァイは不審な顔をしてハンジから差し出された紅茶をにらんだ。
「失礼だな!何も入ってないよ。この、同僚の優しい心づかいが分からないのかい?」
リヴァイの怪しむような視線を受けて、ハンジは盛大にため息をつく。やれやれ、とかぶりを振るハンジを見て、リヴァイもため息をつく。
「…自業自得だろうが」
だがハンジの様子からして、今回は何もなさそうだ。リヴァイは差し出されたカップを受け取ると、温かい紅茶をゆっくりと口に含んだ。
ふわっ、と香る匂いは、リヴァイの好きな銘柄のものだ。熱さも丁度よいし、渋みも無く飲みやすい。淹れ方は完璧と言うべきだろう。さすがに長い付き合いだけあって、リヴァイの好みを完璧に把握している。
「まだ終わるのに時間かかりそうなの?」
「いや、あと少しで終わるだろう。後は部下からの報告書があがってくれば完了だ」
紅茶を飲み進めながら、軽く言葉を交わす。
「…そう。あんまり根詰めないようにね」
じゃ、と右手を振ってハンジは部屋から出て行った。
リヴァイはコトリとカップを置くと、先ほどまで作成していた書類に再度取りかかり始めた。
しばらくすると眠気をもよおしてきたため、リヴァイは寝ることにした。体調はいつでも万全にしておかなければならない。ゆったりと、リヴァイはベッドに横たわり眠りについた。