第3章 君の匂い
ヒラヒラと手を振って離れていくミケの背中を見送ってから、リヴァイとも歩き始めた。
ミケから菓子をもらった後、リヴァイに茶を入れてくれと言われるのも恒例であった。なぜ彼が毎回茶を入れろと言うのか、はっきりとした理由はには分からない。だが、
(一緒にいられるだけで、嬉しい)
と、は満足している。
ちなみに、リヴァイの部屋にも菓子が大量にある。彼が食べるためではない。すべてはのためである。理由は…ミケと同じようなものである。
「、この間珍しい菓子があったから買ってきた。食べてみろ」
「兵長…いつも本当に嬉しいのですが、こんなにお菓子ばかり食べていては太ってしまいます…」
がやや苦笑すると、
「大丈夫だ、お前は太らない。それに、多少太っても全く問題ない」
表情の変化に乏しいリヴァイが、紅茶を飲みながらきっぱりとした口調で断言した。
言っている事は全く根拠のないことなのに、なぜか妙に説得力がある。リヴァイの言うことなら何でも納得してしまう自分に、は再度苦笑した。
が菓子を食べていると、不意にリヴァイの手が伸びてくる。
「…あまり、背負い込みすぎるなよ?」
くしゃ、と優しく頭を撫ぜられた。
(なんだかいつも撫ぜられてばかり…でも)
は、口の中に広がる甘さが胸にもいっぱいに広がっていくような気がして、幸福な気持ちでゆっくりと目を閉じた。