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*スーツを着た狼*【R18】

第10章 女の子の日





(うぅ…お腹痛い)


今日は休日。
けれど素敵な目覚めとは真逆な状態で覚醒した。
経験した事のある女性も多いだろう……生理痛だ。

(どうして今日に限って…)

今日は野宮先輩とデートの約束をしている。
2人でちゃんと外出するのは初めてで、すごく楽しみにしていたのに…

(流石に出掛けるのは無理かも…)

今だってベッドから出るのもツラい状態だ。
運悪く鎮痛剤も切らしてしまっていた。


「先輩に連絡しなきゃ…」

ひとまず今日のデートは延期してもらおう。
彼にも悪いと思ったが、それ以上に私自身とても残念だった。



『…どうした?』

私の電話にすぐ出てくれた先輩。
生理とは言いづらかったので、体調が悪いとだけ伝えておく。


『風邪?』

「い、いえ……その…」

『病院は……って今日は休みか。薬は飲んだのか?』

「えっと…そこまで大した事じゃないので……」

『バカ…風邪だからって甘く見てると後で痛い目に遭うぞ』

「……、」

先輩は私の体調の悪さをすっかり風邪だと思い込んでしまったらしい。
それを否定しようとすると…


『とりあえず今からお前んち行く』

「え……、」

プツリ。
私の返事も待たず、先輩は電話を切ってしまった。

(ど、どうしよう…)

たかだか生理痛で来てもらうなんて申し訳なさ過ぎる。
本当の事を知ったら先輩はどう思うだろう…
けれど今更お断りの連絡をしたところできっともう遅い。

結局私は最低限の身だしなみだけ整え、痛むお腹を抱えながら彼が来るのを待った…





「おい…本当に大丈夫なのか?」

それから30分も経たないうちにやって来た先輩。
痛みを堪える私にそう声を掛けてくる。


「だ、大丈夫です…」

「全然大丈夫じゃないだろう…。腹か?そんなにツラいなら救急病院に…」

「ほ、本当に大丈夫です…!病気とかじゃないんで…」

「じゃあ何なんだよ」

「……、」

ここまで来たらもう白状するしかない。
このままでは本当に病院へ連れて行かれそうだ。



「じ、実は…」

「………」

正直に話すと先輩は目を丸くさせた。
そして少しホッとしたように息をつく。


「…だったらさっさとそう言え」

「だ、だって…」

「薬は?」

「それが切らしちゃってて…」

「じゃあ俺が買ってくる」

「えっ…!」



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