第4章 たとえば、君を知る倖せ【黒子のバスケ/黄瀬涼太】②
――昼休み。
黄瀬は屋上で昼飯を食べていた。
例の紙袋の女子生徒と一緒に。
「さ、更科サンっスよね?」
「他に、こんなカッコの人間に呼び出される宛てがあるの?」
「ねぇっス」
こんなことする知り合いがいる自分にも驚きだが。
「それより。アンタ、やってくれたわね」
「何のことっスか?」
「とぼけないで! これよ、これっ‼」
首を傾げた黄瀬に、紗良は携帯の画面を突きつけてきた。
そこには――。
――黄瀬さんに告白されたのですが、返事がうやむやになってしまいました。どう断ればいいでしょうか? いい案がありましたら、ご教授ください。
……ガーンッ!
「とっととフラレろ」
紙袋に開けられた穴からは、見下すような鋭い視線を感じる。
「お、オレのっ、人生初の告白が……っ!」
頭を抱えてそう嘆いていると、紗良が「ん?」と首を捻る。
「何よ、アンタ、告白初めてだったの?」
「そうっスよ! 正真正銘、初告白っス!」
「へぇ~、まぁ、自分からコクらなくても、女には困らないもんね」
間違ってはいないが、妙にトゲがある言い方だ。
「ま、詞織のことは諦めて、別の女を探すことね」
「イヤっスよ! 絶対、詞織っちがいいっス!」
駄々っ子のように腕をブンブン振り回せば、試すような視線が注がれる。