• テキストサイズ

たとえば、キミを愛する倖せ【短・中編集】

第4章 たとえば、君を知る倖せ【黒子のバスケ/黄瀬涼太】②


 ――昼休み。

 黄瀬は屋上で昼飯を食べていた。
 例の紙袋の女子生徒と一緒に。

「さ、更科サンっスよね?」

「他に、こんなカッコの人間に呼び出される宛てがあるの?」

「ねぇっス」

 こんなことする知り合いがいる自分にも驚きだが。

「それより。アンタ、やってくれたわね」

「何のことっスか?」

「とぼけないで! これよ、これっ‼」

 首を傾げた黄瀬に、紗良は携帯の画面を突きつけてきた。
 そこには――。


 ――黄瀬さんに告白されたのですが、返事がうやむやになってしまいました。どう断ればいいでしょうか? いい案がありましたら、ご教授ください。


 ……ガーンッ!

「とっととフラレろ」

 紙袋に開けられた穴からは、見下すような鋭い視線を感じる。

「お、オレのっ、人生初の告白が……っ!」

 頭を抱えてそう嘆いていると、紗良が「ん?」と首を捻る。

「何よ、アンタ、告白初めてだったの?」

「そうっスよ! 正真正銘、初告白っス!」

「へぇ~、まぁ、自分からコクらなくても、女には困らないもんね」

 間違ってはいないが、妙にトゲがある言い方だ。

「ま、詞織のことは諦めて、別の女を探すことね」

「イヤっスよ! 絶対、詞織っちがいいっス!」

 駄々っ子のように腕をブンブン振り回せば、試すような視線が注がれる。
/ 196ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp