第4章 「久しぶり」
「武装探偵社にいるの。私たち」
間髪入れずに放たれた言葉は、中也の心を締めつけるのに充分だった。
──菜生が、武装探偵社に…?
「じゃあ、俺らとは敵対してるっつーことになるな」
動揺する心とは裏腹に、自分の口は冷静な言葉を紡ぐ。
勿論菜生はというと自分と敵対することに苦痛を覚える筈もなく、ケラケラと笑う。
「そうなるね。でも安心していいよ、今は探偵社員ってより友達として連絡してるだけだから。敵である前に、中也は大切な同僚だからね」
「…で、何の用だよ」
「冷たいなあ。世間話だよ。芥、強くなったなぁと思うと心を動かされるものがあってね」
「彼奴は強ェよ。強くなった。…芥川に会ったのか?」
「うん。中島敦…芥は人虎って呼んでたけど。懸賞金掛かってるんだよね、私の後輩に。今朝、相見えたよ」