• テキストサイズ

目に見えぬもの

第12章 芽吹く



『植物は、日の光と水だけでは育たない』

人間はそれを知っているはずなのに、この老人は、独りで木を植え続ける。小さな小さな、踏み潰されてしまいそうなほど小さな木を。


どうして?何故?



また一つ知りたいことが増えた私は、老人がたった今、植えた双葉に触れた。






音もなく、命の匂いも消えた。








しかしそれは錯覚で、私が消してしまったのだと気付いた。




老人が、泣いていたから。

泣きながら、笑っていたから。










『これで木が育つ.....』と。

/ 26ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp