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目に見えぬもの
第12章 芽吹く
『植物は、日の光と水だけでは育たない』
人間はそれを知っているはずなのに、この老人は、独りで木を植え続ける。小さな小さな、踏み潰されてしまいそうなほど小さな木を。
どうして?何故?
また一つ知りたいことが増えた私は、老人がたった今、植えた双葉に触れた。
音もなく、命の匂いも消えた。
しかしそれは錯覚で、私が消してしまったのだと気付いた。
老人が、泣いていたから。
泣きながら、笑っていたから。
『これで木が育つ.....』と。
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