第26章 Missing heart…
もう立っているのもやっとなのに…
もう指一つ動かすことも出来やしないのに…
もう息をすることすらままならいのに…
なのに智は、身を包んでいたシーツを、十二単に見立てているんだろうか…、見事なまでに靡かせ、虚ろだったその目には壮絶なまでに妖艶な色を光らせている。
「ああ…、そうだ…、智…、綺麗だ…」
俺が一番見たかった智の姿が、そこにはあった。
俺のことなんて思い出せなくたっていい…
俺の名前を呼んでくれなくたっていい…
お前のその姿を見られただけで、俺はもう…
「愛してる…、智…、愛して…る…」
俺が唯一愛したダンサー…
俺が唯一愛した男…
智…
永遠におまえだけを…
愛してる…