第5章 ※ワナを仕掛けた俺のせい?
美咲を抱いた、二度目の夜。
この時の俺は、まだ気付いていなかった。
軽い男を装って、計画通りに彼女に触れられる理由を作り、そしてそれを成功させた。
欲情で繋がるのもアリだろ?
なんて、心にもない事を美咲に言って。
これでもなんとか、上手くいく。
そう、考えていた。
美咲を落とそうとする俺と、落ちまいとする美咲。
その攻防をしながらでも、お前の体温に触れられる事が出来ると確信していて。
浮かれていたのか、それとも単に、浅はかだったのか。
美咲の一番近くにいる、触れられる距離にいるというおごりがそうさせたのか。
どれも正解で、どれも違う気がしないでもない。
……が。
その理由が分かったからと言って、どうにもならねぇ。
とにかく俺は、気付いていなかった。
最大の難敵が、
動き出した事に。