第5章 初めての体験
夏休みが空けてから数日後
「高野さん。この資料を頼みたいんだけどいいかな?」
遥に頼み事をしているのは新生徒会長となった東堂だった
「うん」
つい先日から新生徒会長として活動している東堂からしばらくの間、書記の生徒が休むために手伝って欲しいと頼まれた
「はい、どうぞ」
「ありがとう。やっぱり君がいてくれると助かる」
生徒会室では2人きりで仕事をしていた
「…ねぇ、どうして私に?」
全く東堂と接点のない遥は手伝って欲しいと依頼してきたのを不思議に思っていた
「それは、もちろん君が真面目で誠実だから」
東堂は遥に向き合い真面目に話した
「でも、他にもできそうな人がいるんじゃないの?比嘉 さんとか…」
「君が誰よりも良かったんだよ。いいや、僕は君じゃなきゃダメだと思った…」
「…え?」
「君はいつも真面目に勉強してるだろ?その真面目さや人の見てないところで花の水を替えたりしてる。誰よりも頑張ってくれているのを見てたからだよ」
そう言って微笑む東堂
「花の水替えてること知ってたんだ。せっかく綺麗咲いてくれたのに早く枯れちゃうの可哀想ってだけなんだけどね」
「そういう気持ちが大切だと思うよ。僕は君みたいな人こそが生徒会に入るべきだと思ったんだ。」
そう言うと東堂は資料に目を通し始めた
しばらくして2人は生徒会室を出ると
「今日は、急に呼んだのにも関わらず色々してもらったから家まで僕が送るよ」
「そんなのいいのに…!」
と遠慮をするが東堂がどうしても送らせてほしいと言い東堂家のリムジンで家まで送ってもらうこととなった
「今日は本当にありがとう!また明日」
「うん。また明日」
家まで送迎してもらい別れを告げた
部屋に入り部屋着に着替え、スマホを見る
如月からのメッセージが届いていた
『今日の放課後どこ行ってたんだ?居なくて寂しかったんだけど(T^T)』
と如月のかまってちゃんな内容に
『何も連絡せずにすいません。生徒会室で会長のお手伝いしてました。次からは連絡します』
と今日のいなかった理由を送る