第14章 小さな仕返し
「先生ー!」
「あ、鈴木くん…」
「遥先生、これお礼です!」
遥がもつクラスの男子生徒がバレンタインのお返しにとチョコを持ってきた
「ありがとう。わざわざ買ってくれたの?」
「はい!先生にはいつもお世話になってますし。このチョコパリ限定なんですよ」
「え…パリ?!」
金持ちの集う如月学園は格が違うのだと改めて思う
数年前にここを卒業し、大学を出て教師として帰ってきた遥は務めて2年目にして担任をしている
「遥ちゃん!俺もー」
また違う男子生徒がバレンタインのお返しを持ってきた
「遥ちゃんじゃなくて先生です!」
「いいじゃん。仲良くなりたいんでしょ?」
「そーいう事じゃありません!」
「怒った遥ちゃんも可愛いー」
「菅井くんは…もう!」
バレンタインの日、遥はクラスの生徒にチョコを作り渡していたのだった
女生徒からも手作りのお返しを貰ったが、男子は海外からの取り寄せ物や、家にいるパティシエの作るお菓子を持ってくる者が多く、しまいには担当クラス以外からも貰うハメになっている
「わぁ…遥先生、すごい数だね」
職員室のデスクは生徒からもらった物で溢れかえる
「こんなのどうやって消費するの?」
横のデスクの女教師の桜田が聞く
「少しずつ食べていこうと思います…」
「凄いわね…」
「あの…少し食べせん?」
「協力という意味を込めて食べさせてもらうわね」
休憩時間に2人で食べることにした