第5章 ※三角形 case3※
私用の携帯番号を書いた名刺を渡して、車に乗り込むリエーフ。
「連絡、待ってるからな!さくら、愛してるぞ!」
去り際に、わざわざ窓を開けて言葉を残していった。
車が見えなくなると、ドッと疲れが押し寄せてくる。
早く帰って、お風呂に入って寝たい。
歩く気力が失せていたから、勿体無いけどタクシーを使って家まで帰った。
やっと、落ち着ける自宅で、ゆっくりバスタイム。
…の、つもりだったけど。
頭の中では、ぐるぐると2人の男の事が巡っている。
付き合いが長いから、私の事をよく知っていて、一緒に居ると落ち着くのは秋紀。
生活として考えると、浮気の不安があっても、こっちの方が絶対に良い。
だけど、恋愛として、感情を動かしてくれるのは、ドキドキさせてくれるのは、リエーフ。
真っ直ぐ私だけに向かってくるから、浮気の心配も無さそうだ。
よく、2人の男に同時に告白されたら的なネタはあるけど。
何を重視するかで、選び方は変わってくる。
誰かに相談した所で、決めるのは私自身だ。
リエーフとの浮気を一度きりだからと過去にして、秋紀と結婚してしまえ、と今日までは思っていた。
明確に、告白されて、選ばなきゃならなくなった今の状態では、リエーフとの事を過去には出来ない。
悩みに悩んでも、答えは出ず。
私が取った行動は…。
2人から、少しの間、離れてみる事だった。