第1章 三角形 case1
今日の事を謝りたい人からだったけど、ここまで落ち込んでいたら出る気にはならない。
明日にでも、落ち着いてから連絡をすればいい。
出ないと決めて、切れるまで待った。
携帯が振動を止めて数分。
また着信を示す。
もう1人の、今日の事を謝りたい人からだった。
その名前を眺めていると、自然と指先が動いて、通話ボタンの上へ。
自分でやった事を悔いて落ち込んでいる事を、この人には知って貰いたい。
悪い事をしたのは分かってるけど、今すぐに謝るから、許して欲しい。
私は、この人に、甘えたい。
今までも、2人に相当甘えていたけど。
先に電話が掛かってきた方には、無視の対応をして。
今の電話には、出たいと思っている。
怒られても、何を言われても。
私は、この人の声が聞きたいし。
甘えさせて欲しいと、求めている。
通話ボタンを押して、携帯を耳に当てる。
聞こえてきた声に安心しているのに、心臓は早鐘を打っていて。
こちらを選んだのだと、自覚した。