第1章 2月14日
バレンタインデー。
それは女の子にとって特別な日。
「失礼します」
今日も私は溜まりに溜まった仕事を少しでも消費する為、生徒会室の扉を開く。
「遅ェぞ、美織」
「すみません」
顔を合わせるなり文句を言われる。
「遅刻とは良い度胸じゃねェか。
覚悟は出来てんの?
お仕置きが必要だよな」
ニヤリ、と笑うのは一路星夜。
この学校の生徒会長で、私の彼氏。
俺様で、強引で、口が悪くて、仕事してくれなくて、エッチなことばかりして!
でもたまに優しくて...。
狡い人。
「まだ時間前だから遅刻じゃないよ!」
そう、まだ時間より2分程前だ。
怒られる義理は全くない。
「俺らより先に来るのが普通だろ?
後輩ちゃんは」
俺ら...?
「あ、そういえば烈さんは...?」
「そこのソファーで寝てる」
クイ、と顎で示す星夜さん。
その先にはソファーの上に寝転び、静かな寝息を立てている烈さんが居た。
普段掛けている黒縁の眼鏡は外され、机の上にある。