第7章 狙われたのは
「実は先日、ここより南東の方角に出城のようなものを偶然発見しました。しかし場所が妙なことに、その出城はどこの城へ攻めるにも向かない場所。むしろ忍術学園に向けられているようにも思います。」
「なんと!それが本当なら大変なことですよ、学園長!」
「それとここを監視している者がいます。接触しようと試みましたが、不甲斐ないことに逃げられてしまいました。私はその出城の者だと憶測しています。」
「それはドクタケやドクササコであったか?」
「いえ、それが初めて見る忍でした。先生方や生徒に近付いていないところを見ると、奴らの狙いは学園長、学園そのもの、あるいは…椿さんの可能性があるかと。」
利吉の言葉に一同は口を紡ぐ。
忍術学園に向いているであろう出城、学園内を監視する謎の忍、狙われている可能性のある椿。
「正体がわからぬ以上、椿君を保護しつつ調査をする必要がありますな。彼女はやはり、何かを握っている。男物の着物を着て足元は傷だらけ、逃げるために道を選ばず歩いた証拠ですな。…ヘムヘム、小松田君を呼んでおくれ。」
ヘムヘムが小松田を呼びに学園長室を後にしようとしたまさにその時、聞き覚えのある声が騒々しく近付いてきた。
「大変だぁぁぁぁ━━━━━!!!」
乱入してきたのはいつもの三人、乱太郎、きり丸、しんべぇ。三人とも、涙、鼻水を垂らしながら尋常ではない様子で必死に訴えている。
「何事じゃ!」
「落ち着いて話しなさい。」
三人は一度深呼吸をすると、順に話し出す。
「た、大変なんです!!」
「椿さんが、」
「捕まっちゃったんですー!!」
「な、なんだってー!?」
その経緯はこうだ。
いつものように遊びに出掛けた三人は、椿の姿を見つける。彼女は食堂のおばちゃんのお使いに行くところだと言うので、三人はついて行くことにした。
すると突然、見知らぬ忍装束の男三人に囲まれた。男たちは椿に一緒に来るように言い、彼女は乱太郎たち三人の解放を条件にそれに従おうとした。乱太郎たちは彼女を置いて行けないと戦おうとしたが、椿に一喝され泣きながら帰ってきたということだった。