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【忍たま乱太郎】かぐや姫

第7章 狙われたのは


忍術学園の外へつながる門、私はその前に立っていた。
ここを出ればどうなるか、わからない。
何も起こらないかもしれないし、万が一があるかもしれない。
そんな葛藤など知るよしもない小松田君が、サインを求めてきた。

「椿ちゃんがお出かけなんて初めてだよねぇ。」
「…うん。」
「今日はさすがにいつもと違う格好なんだねぇ。」
「…うん。」

自分で書いたサインを見てはっとする。
私、震えている。

「……小松田君!」

突然大きな声を出したので、小松田君が驚いた顔で私を見る。
引き止めて欲しいのに、言葉が出ない。
助けて欲しいと言ってしまえば、どんなに楽だろう。
言葉を噛み殺し、両手の拳に力を入れる。

「驚かせてごめんね。…行ってきます。」





いつもと違う。
学園長に呼び出された全教員を目にし、土井は思った。先生方の表情は硬い。
空気が張り積めていて、吐き気がしてくる。こんな経験はしばらくしていない。

「では、山本シナ先生からご報告を。」

学園長が促し、山本が話し出したのは椿のことだ。
くの一教室の授業に特別として椿を招いた時、彼女は生け花や舞踊を完璧にやり遂げたという内容だった。

「文句のつけようがありませんでした。点数を付けるなら満点です。つまり、」
「そういう教育を受けていた、ということですな。」
「はい。」

「学園長、彼女の不信な点はまだあります。我々忍に対する抵抗感がまるで感じられない。」
「それに外出を極端に嫌がります。」
「しかし学園内を探っているとか、外部と連絡を取っている素振りは見られません。」

土井も同じ事を感じていた。忍のことを話しても素直に受け入れた、あの違和感だ。一般人がはいそうですかと、簡単に忍を受け入れられるだろうか?

「ふむ、実はその件に関連するかもしれないことで、先日利吉君より報告があった。先生方にも聞いてもらおうと、今日は利吉君を呼んでおる。」

学園長の声かけに利吉が現れ話し始めた。

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