第9章 初めての実践
「すげぇなあいつ!」
「“個性”も使わずに入試上位者と渡り合ってる!」
本当に彼は凄い。相手の動きを読むなんて、並大抵の努力では出来ない。
『元々判断力が優れていたんだろうね。咄嗟の動きでも充分対応してる』
爆豪君とは幼馴染だと聞いたことがある。昔から彼を知っているからこそやれる芸当だ。
そうしてる間に、お茶子は「核兵器」がある部屋に到達したようだ。
『天哉君、流石だね。相手の“個性”をよく理解している』
お茶子の“個性”無重力(ゼログラビティ)は触れたものの重力を無に出来る。それを利用させない為に、部屋にあったものは綺麗さっぱり片付けられている。
…敵になりきるのはやり過ぎだと思うけどなぁ。
『時間も少ないし、タイムアップになったら爆豪君と天哉君の勝ちになる。でも…』
爆豪君はこのままで終わらせるつもりは無いらしい。あの様子…絶対何か仕掛けて来る。
「てめーのストーキングなら知ってるだろうがよ。俺の爆破は掌の汗腺(かんせん)からニトロみてえなもん出して爆発させてる」
掌からそんなものが出せるのか…“個性”って本当に凄いんだな。
「「要望」通りの設計なら、この籠手は内部にそいつを溜めて…」
『そんな、まさか…いや。彼ならやりかねない!』
オールマイト先生がストップをかけているが、爆豪君は聞く耳を持たず、籠手のピンを抜いた。
「当たんなきゃ死なねぇよ!」
その瞬間、物凄い爆発音が轟いた。出久君はモロに直撃したらしく、ボロボロになっている。
『時間が経てば経つほど威力は上がっていく…“個性”だけでも厄介なのに、彼の戦闘スキルと戦闘服の設計がプラスして、余計に面倒になるね』
「先生止めた方がいいって!爆豪あいつ相当クレイジーだぜ、殺しちまうぜ!?」
「いや……(妙な所で冷静ではある…みみっちいというか何というか…ともかく…)」
《爆豪少年、次それ撃ったら…強制終了で君らの負けとする》
《屋内戦において大規模な攻撃は守るべき牙城の損害を招く!ヒーローとしてはもちろん敵としても愚策だそれは!大幅減点だからな!》
「〜〜〜あ〜」
「窓側柱に!じゃあまた!」
『……』
「…暁お姉様?遠い目をしておられますけど…」
『…いや、何でもない』