第7章 個性把握テスト
声のした方向を見ると、茶髪の女の子がこちらに走って来た。彼女は確か…
「麗日さん!」
「君は∞女子」
『ボール投げで一番の記録出した子だよね』
彼女の“個性”は詳しく知らないけれど、触れた物の重力を無くす事が出来るらしい。記録が∞となった時は驚いた。
「麗日お茶子です!えっと飯田天哉くんと八雲暁ちゃんと緑谷…デクくん!だよね‼」
「デク‼?」
『そういえば爆豪君にそう呼ばれてたよね。「デクてめェー‼」って』
めっちゃ手のひら爆発させながら。
「あの…本名は出久(いずく)で…デクはかっちゃんがバカにして…」
「蔑称(べつしょう)か」
お互いあだ名(?)で呼んでるって事は仲良いのかな?それにしては険悪感バリバリ出してるけど…主に爆豪君が。
「え_そうなんだ‼ごめん‼でも「デク」って…「頑張れ‼」って感じでなんか好きだ私」
「デクです」
『「緑谷君‼」』
『ちょ、軽くない⁉』
「そうだぞ!蔑称なんだろ⁉」
「コペルニクス的転回…」
「コペ?」
あぁ、確か物事の見方が180度変わるっていうやつだよね…
『確かに真反対だね』
「デク」は多分「木偶の棒」から取ったのかな?見事に逆の意味になったなぁ。
緑谷君は両手で顔を覆ってしまった。耳まで赤いし…相当嬉しかったのかな。…“名前”か…
『馴れ馴れしかったら申し訳ないんだけど…私も皆のこと名前で呼んでいいかな?苗字で呼び合うって、どうしてもなれなくて…出来れば私も名前で呼んでもらいたいし』
前の世界では皆名前呼びだったので、今だに苗字は慣れていないのだ。会ったばかりの人や親しくない人なら仕方ないけど、同い年でクラスメイトだし、もっと仲良くなりたい。
「全然構わんよ!私の事もお茶子って呼んでね、暁ちゃん‼」
「女性に対して名前呼びは気が引けるが…君が良いのならそう呼ぼう。改めて宜しく!暁君」
「え、えぇっと…よ、宜しくお願いします!っ暁さん…」
『ありがとう、皆。こちらこそよろしくね』
お茶子と天哉は全然大丈夫そうだけど、出久君に至ってはまた顔を真っ赤にしている。こちらは慣れるまで時間がかかりそうだ。
『じゃあ私はこっちだから…また明日!』
「うん!ばいばーい」