第19章 うなれ体育祭!!
早めに食事を済ませてスタジアムの下見に向かう。どんな競技なのか気になるし。
角を曲がれは意外な人物が立っていた。
『あれ、勝己君。どうし_!?』
声を掛けると素早く片手で口を覆われた。驚いて彼を見上げると、目線で自分の後ろ側の通路を指す。
『…?』
誰かが会話している。轟君と…出久君?
轟君のお父さん…No.2ヒーロー、エンデヴァーと自分の出生についての話らしい。
話に耳を傾けなくても伝わってくる。彼からは父親に対しての憎悪、嫌悪、憎しみ、怒り_負の感情がひしひしと伝わってくる。
「…ざっと話したが、俺がお前につっかかんのは見返す為だ。クソ親父の“個性”なんざ無くたって……いや…」
「使わずに“一番になる”事で、奴を完全否定する」
「僕は…ずうっと助けられてきた。さっきだってそうだ…僕は、誰かに助けられてここにいる」
「オールマイト…。彼のようになりたい…その為には一番になるくらい強くなきゃいけない。君に比べたら些細な動機かもしれない…」
でも、と続ける出久君。前を向いた彼からは、この体育祭にかけた覚悟を感じる。
「僕だって負けらんない。僕を助けてくれた人達に、応える為にも…!さっき受けた宣戦布告。改めて僕からも…」
「僕も君に勝つ!」
「………」
二人が去った後も、勝己君が手を話してくれた後も、私達は何となくその場から動けずにいた。
聞いた話は余りにも重たく、衝撃的な内容だった。“個性婚”なんて初めて知った。