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テニスの王子様【短編集裏なし】

第14章 【一氏】アホちゃうか


泣いていた菊田の制服や顔は真っ黒で、
所々ガラスで切ったと思われる傷があって…

「傷、イタイやろ。」

腕の傷を見つめながら問う。

「あまりっ、痛くないんですッ…ック…ッ」

「ならなんで泣いてんねん」

「心がイタイ…っ、先輩、好きなのに、バンダナ見つからないっ…よぉ…ッ」

ボロボロ泣く菊田に生まれる罪悪感…

「すまん…。全部、嘘や…。バンダナなんか落としとらんわ…」

「…よ、かった…ッ」

ゆっくりと岸に上がる菊田。

ほんま、アホや…

「先輩ッ…好き…っ」

岸に上がると泣き崩れる菊田。

「お前んこと、本気で考えたるわ…」

学ランを菊田に羽織らせ、俺はその場を去った。

なんなんやろな、
菊田の涙が俺の心を動かしたんか?

…いや、ちゃうな。
あいつの心が動かしたんや。

菊田のことなら、
前向きに考えてやってもえぇわ。

菊田、アホやから、
今度は誰にも騙されんように
俺が側に居ったるわ…。

ほんまにごめんな。
俺が言えることやないかもしれんへんけど、

これからは、
俺が守ったるからな…!
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