第12章 【柳狂愛】いつから
高校生二年生の夏。
首輪に繋がれた鎖、その音だけが部屋に響いた。
―ガチャッ
帰ってきた。
扉の音は、
寂しいような
嬉しいような
そんな不思議な気持ちにさせる。
「蓮二、おかえり。」
「あぁ。寂しかったか?」
「…うん、すごく。」
鎖の長さは家の中を動き回れる程度だった。
私はいつも、ソファで蓮二の帰りを待つ。
ねぇ、蓮二?
私も女の子なんだよ?
ねぇ、蓮二?
勉強したいよ。
ねぇ、蓮二?
友達に会いたいよ。
ねぇ、蓮二?
外にでたいよ。
ねぇ、蓮二?
デート、したいよ。
…そんなこと、捕われの身の私が言えるわけもなく、
ただポツリと言葉を零した。
「学校、行きたいな…」