第7章 【財前切甘】素直
「その落ち込んだ顔は、うまくいってないんやね?」
その小春先輩の言葉に罰が悪そうな顔しとったら、隣に座るよう促されたからとりあえず座った。
「財前!!そこ俺の場所やっ!!!」
「うるせぇぞ一氏!」
このめっちゃドス聞いた声が小春先輩のものとは思えんわ…
一氏先輩は仕方ないといった様子で俺の隣に座った。
「で、どないしたん?結菜ちゃんのことやろ?」
落ち込む一氏先輩をよそに、
話しかけてくる小春先輩。
なんでやろな、この人やったら、恋愛のこと相談できる…
「素直に、なれへんのですわ…」
「あー、また適当にあしらっちゃってるのね。」
「ま、そういうことっスわ。」
「おい財前、」
俺に小春先輩がどんな言葉をかけようか考えているときに、
一氏先輩が立ち上がった。
たいしたこと期待しとったわけやなかったからこそ、
一氏先輩の言葉がめっちゃ心に染みた。
「えぇか。恋は俺らの事をキモいって適当にあしらうのとは違うんやで。そのクールさが財前のえぇところかも知れへん。けどな、クールになったらあかんときもあるんちゃうか?人の目ェばっかり気にするクールは格好悪いで?」
ほんま。
はじめてこの人かっこいいと思ったわ。