第2章 【白石甘】100本のバラと好きを君に
「くらぁ、今日部活ねぇなら一緒に帰ろうぜ。」
「あぁ、構へんで。」
男らしい口調の女。
菊田結菜っていうんやけど、こいつは3歳んときに父親の転勤で東京からこしてきた幼なじみやねん。
母方の実家が東京で、結構頻繁に帰ることもあって、大阪弁は入ってこない、って言うとったな。
「まじね、今日オサムちゃん不機嫌だったんだって。」
「きっと負けたんやろな。コレで。」
「なるほどな。」
手で表現した”コレ”はパチンコのこと。
オサムちゃん、勝ったときはめっちゃご機嫌やからなぁ。
そんなことよりも...
結菜の男らしさがなおらへんのか心配やねん。
理由?それは…将来男ができへんのやないかってことや。
…なんや俺、おかんみたいやな。
「ほな、な。」
「はいよー。」
家が隣同士の俺らは、家の前で別れた。
ちなみに部屋も隣同士やで!
俺は部屋に戻って明日の準備して、ゆっくりするためにベッドに寝転ぶ。
明日の準備は早めにしておかへんとな。
寝転ぶのとほぼ同時くらいやったやろか。
結菜の声が聞こえた。
あいつめっちゃ声でかいからなぁ。
ココまではいつもと何も変わりはない。
けど、違うことが一つ。
それは、電話の内容、ついつい聞き入ってしもた。
”蔵の事が好き”と聞こえたから…。
「あたしには蔵と付き合う資格ないよ。だって男っぽい...だから…いつも通りでいいんだ。」
…きっと、友達に相談してるんやろな。
結菜、女らしいとこ、ちゃんとあるやん。
ちゃんと恋してるやん。
今はまだ幼なじみやけど、
俺の気持ちも結菜へないわけではない。
この気持ちが確実になったら、
次の誕生日プレゼントは決まりやな。
100本のバラと
”好き”って言葉を君に...
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