第8章 【桜色】パニック &ぱにっくシンドローム
~Sideハイリ~
久しぶりに入る大食堂は
昨日と同様に、人でごった返していた。
かなり広いと言っても
ヒーロー科の他にサポート科・経営科・普通科の計11クラス×3学年が一堂に会するんだから、当然と言えば当然。
今日は昼休みも半ばな時間に足を踏み入れたこともあって
一層狭く、息苦しく感じた。
(まさにランチラッシュ! 今日は座れるかも怪しいな。)
今までは生徒じゃなかった。
近所の子供が遊びにやってきた
そんな感覚で利用していたものだから
いつも来る時間は大抵授業中。
当たり前の様にほぼ貸し切り状態だったこの空間も
生徒となった今、自分の席を確保するので精一杯と言った感じだ。
「そんなに我が物顔で利用してたのかよ。」
やっとの思いで席に着いた矢先の彼の第一声は
少々耳が痛いものだった。
「お恥ずかしながら
特権だとすら思ってた時期もあったよ。」
「ま、高校生に混じってガキが一人で食事ってのも
違和感だろうがな。」
朝の一件に加えて保健室まで迎えに来てくれた事まで考えると、かなり心配をかけてしまったに違いない。
それでも、そんなもの関係ないと言わんばかりの
普通な態度がとてもありがたい。
一昨日食べたばかりだというのに
またお蕎麦を食べている光景だけで笑いを誘うには十分だった。
(相当好きなのかな……?)