第47章 【深緑色】デイドリーム
いつもと違う刺激は
緩く、甘く
まるで唇を食むかのようなキスみたい。
優しく触れて啄まれる
奥を突かれてるんじゃなくて撫でられてる
ゆっくりと
快楽のナイフに侵されて
熱い白濁に毒されて
壁を溶かされて
脳を溶かされて
思考も
何もかも……
どうしてこうなるの?
そう思ったのは確かだ。
怒ってた
安心した
喧嘩したわけじゃないけど
ちゃんと仲直りもした。
頭を撫でて貰って膝の上に乗せられて
シャツの中にスカートの中に
入ってきた手に「駄目」って言って
『ん…もうっ! 怒るよ!?』
『その顔はもう怒ってねぇ…。』
焦凍の言ったとおり
もう怒ってなかった。
また会えたことに安心したばかりだ
怒る訳がない。
犬の署長さんから聞かされても
この病院のドクターにカルテを見せて貰っても
顔を見るまで安心できなかった
もっと「すき」って言えばよかったとか
ちゃんと素直になればよかったとか
募るのは後悔ばかり
だから
この体温が嬉しかったの。
『ハイリ…可愛いな。』
可愛いって言われるの
嬉しくない訳がないよね
好きな人からなら尚更
いつもより
私は素直だったと思う
『も…ぅ、ンッ…』
直接背中を撫でられただけで
熱い息が漏れた
唇に触れた息も熱かった
焦がされるような視線から目が逸らせなくて
閉じることもせず触れ合わせた熱
同じくらい熱いから
火傷のしようが無くて
何度も何度も重ねた。
お腹から這い上がってきた指が
襟から顔を覗かせて鎖骨を撫でる
細められた焦凍の瞳は楽し気で
嬉しそうで…
(悪戯っ子だ…。)
――カツン…ッ
響いた固い音を聞きながら
苦笑にも似た笑みを零したの…。