第47章 【深緑色】デイドリーム
これはそんな淫らな行為じゃねぇ
体温を確かめ合っている
それだけ
ただそれだけだ。
「ふっ…ッぅっ」
くぐもった呻きと共に
諫める視線が寄せられた。
眼下でうつ伏せに組み敷しかれている女は
背も肩も剥き出しだ。
首を目一杯回し
俺を睨み上げる横顔を
滲む涙が伝い落ちる
切なげに漏れる吐息に
こっちの方が窒息しちまいそうになる。
だが…
苦しいのは間違いなくハイリの方だろう。
喉を詰め息を詰め
その表情が先程の泣き顔を思い出させた。
だから、重ねたんだ。
「…キツイか?」
背、肩へと
肌を重ね確かめる。
体温を感じるように
生きている事を実感するように
重ねた肌がフルリと奮う
既に薄紅色に染まりきったソレ
シーツに顔を埋めているのは声を抑える為だろう
手を握りしめているのは耐える為だろう。
それら全て
この行為を受け入れていると言う事。
その証。
抑える気もねぇが口角が勝手に上がる
愉悦の形に
安堵の形に
わざわざ寄せる必要のない耳元で
擽るように囁いた。
「いくら目で訴えたところで
これじゃ説得力ねぇぞ…」
シーツを握りしめる手の上から手を重ね
指を絡めればしがみ付くかのように握り返される。
抗う気なんざねぇんだ
抵抗する理由がねぇんだ
自惚れなんかじゃねぇ
はっきりと伝わった。
今も尚、伝わってくる。
「ハイリも…シたかったんだよな?」
「っふ…ち、が…っ」
いくら口で否定しようと
いくら目で諫めようと
望んでんだ
合意の上だ
その証拠に
ハイリは今も
俺のモンを根元まで加え込んだまま離さねぇ。
まるで抜くなとでも言いたげに吸い付いて来るその中は
既に痙攣をおこし脈打つ自身を締め付けてくる。
(ゾクゾクする…。)
オマエも望んでるってのに
俺が止めるワケねぇだろ。