第43章 ♦番外編♦ Xmas Eve シンドローム
静かに降る雪はしんしんと
その音までも響く夜
キャンドルの火も潰えんとする頃
小さな声がまた一つ響いた。
「ね…もう寝た?」
「いや…?」
「あのね、私ね
どうせなら男の子が良いな。」
「意見が割れたな。」
「焦凍にそっくりな子、欲しいな。」
「俺に需要がねぇ…。」
「あるよ…ありすぎる、よ…。」
「どう、だろうな…」
「しかもひどい…
だいじ、に…してあげな、きゃ…。」
「そりゃ…とーぜん、だ…。」
いつか夢を現実に…
囁き合いながら
語り合いながら
声は小さく
たどたどしく
消えんとする火に導かれるように
夢幻の間へと辿り行く
最後に響いた声は
それこそ微かに空気を震わせた。
「つか、ふたり…
いても…いいんじゃ…」
「う………ン……」
時計の二針が天を仰ぎ
重なり合った。
フッと音なく消えた灯
静かな部屋に寝息が二つ
穏やかに落ちていく。
絡み合った指と指
それは固く
決して離れまいとただ固く
まるで二人の胸元に光る
ダブルループのように…
日付は超えた
今日は25日、クリスマス
恋人たちの特別な日
夢見る二人に
何かが、起こる―――……。
Xmas Eve シンドローム ~to be continued~