第43章 ♦番外編♦ Xmas Eve シンドローム
冬の夜は殊更長い
冬至も過ぎたばかりの12月24日
外を照らすは少しだけ身の欠けた満月
彩るはそこかしこにに散りばめられたイルミネーション
だが――
部屋の中を照らすのは
温かみのある小さなキャンドル
彩るのは
「ぁ……んっ、だめっ…ま、って…っ。」
甘く溶けるハイリの声――…。
「待てじゃねぇだろ…?
こんなになってんぞ?」
「…は、、っぁ、ぁっ、あっ…やぁ…んっっ」
くぷくぷと淫らな音を響かせている熱の中心から、男は指を引き抜き見せつけた。
甘い蜜が絡みつく指二本を目の前で広げて差し出すと、ハイリは開くことすら覚束ない瞳をゆるゆると上げる。
もう何度達した事だろうか
冬だというのに
今宵
この身体が熱を冷ますことは無い
――冷ます事など許さねぇ
そう言わんばかりに攻め続けられること幾時間
もう、時間の感覚も掴めない
指先一つ動かす事すらままならない。
(まるで夢の中に浸されてるみたい…。)
夢の世界というのはそういうものだ
水中でもがくかのように
手足が思い通りに動いてくれない
夢幻 徒夢 夢の夢
泡沫の視界に愛しい男の唇だけがゆるりと上がる
橙色の光が男の口元を照らし
揺らめく赤を際立たせた。
「中も外も、ドロドロだな。」
言葉通り
蜜を溢れさせるソコは、熟れてはち切れた果実の様。
薔薇色に染まった肌は汗と唾液で淡く光る。
当然だろう
なんせ今夜はクリスマスイヴ
時間はいつも以上にたっぷりと
己の全てをもって愛し尽くす
轟の目が柔らかな弧を描く
口元にも描く
そして攻めるのだ
この
身の毛もよだつ程の美しい笑みで
「もう、俺の舌が触れてねぇ場所なんざ
お前の身体のどこにもねぇな。」
「――っぁ…っ」
熱い肌をつっ…となぞる指先
チロと赤い舌が覗く
好物を前にして舌なめずりをする愛しい男の恍惚な姿。
息も絶え絶えの女は
出しかけた言葉を飲み込んで
自分を今から襲うであろう刺激に耐える為
シーツを固く握りしめた。