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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第41章 【深緑色】自己CHIYU




『大人になりたいな。』

『お前は十分出来た人間だろ。』

『そう見えるだけ、そう見せてるだけ。』

『同じだろ?』

『全然違うよ…猫被ってるだけだって言ってるの!』


何度目の夜だったか
突然大人になりたいと言い出した

抱きしめた枕に顔を埋めて
目だけを俺に向ける

言葉と態度が噛み合ってねぇのが
堪らなく可愛く見えて

俺は深く問う事もせず
その枕を取り上げるだけだった。


『どうせ抱くなら俺にしろ。』


愛と同じ所にあって
真逆に位置するこの感情は
あまりに苦く
ほのかに甘い


『ん…。』


ふわりと笑い
俺へと腕を伸ばしたハイリは
きっと言葉を飲み込んだんだ

あの時

欲望に身を委ねず
向き合って聞いてりゃ
こんなハイリを
もっと早く知ることが出来たんだろうか――?




















「いま、は…だめなの?」
















女の泣き顔をこれほど綺麗だと思ったのは初めてだ

伏せた睫毛が形作る
哀の表情

濡れた睫毛の毛先が触れる
この距離でさえ
聞き取ることの難しい細い声

俺の首に腕を巻き付け
縋りついてくるハイリに
抑えがたい嗜虐心を抱いた


「あぁ、今は無理だ。」


理不尽を押し付けられた女は
二の句を飲み込んだ様だ
「我儘になれ」と言われた矢先の拒絶

言った本人に拒絶されりゃ
そりゃ不満も出る


「焦凍、いじわるだ…」


今日は初めて見る表情ばかりだ

唇をかみしめ睫毛を震わせる

苦悶に揺れる瞳は
情事中のソレより俺の興奮を煽り立てた


「ああ、自覚はある。」


涙がまた一粒
落ちたブレザーの上で弾け玉を作る

その感情を
制御すんのは辛ぇだろ?


――愛と疑は表裏一体


俺の方が痛ぇほど知っている。


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