第39章 ♦番外編♦ はにーホリック
「Trick or Treat!」
「年々発音が良くなっていくなァ…
ほらよ!」
「トリックオアトリートーーッ!」
「来たね、いつもと変わんないけど
持ってお行き。」
「とりっくおあとりーと♡」
「今年も準備万端さっ!
好きなのを選んでおくれ!」
「トリック…ぉぁ、とりー…」
「………恐る恐る来る位なら最初から強請るんじゃねぇ
今年が最後だからな、いい加減大人になれ。」
「とりっ、く…っっなにそれっ!」
「今年はハイリも一緒に仮装してもらうわよっ!
さァさァお脱ぎっ!」
「いやっ、
ねむりちゃん毎日がコスプレじゃないっっ!!」
「おだまりっっ!
寝かして引ん剝くわよっ!」
「寝てなくてもどぉせ同じでしょッッ!?」
音を立てて開けた職員室のドア
ううんこれは職員室の扉なんかじゃない
魔界だ
魔界への扉
安心して欲しい
気は確かなの
だって
優しいおにーさんの口は耳まで裂けてるし
大好きなおばーちゃんの皮膚は爛れてるし
可愛いマスコットの口は真っ赤だし
怖いおにーさんはミイラだし
だけど
優しいおねーさんは…
「なんでねむりちゃんは毎年いつも通りなの――!?」
「毎日がコスプレだからよっ!」
「ああん、ごめんなさああい!!」
いつも通りの格好で
いつも持っている鞭を鳴らし追いかけてくる
ハッピーハロウィン
今日なら廊下を走っても許される
(いつも走ってるけど…っ!)
そう
今日はハロウィン
お菓子をくれなきゃ悪戯しちゃうぞ…な
あの日だ。