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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第36章 【深緑色】華と蜂のマリアージュ




「嬉しいけど、ご飯…」

「要らねぇ。」

「それが要るんだよ
今は要らなくても、ね?」

「腹減ってねぇ…。」

「嘘おっしゃい。
そんなこと言って1時間後には『腹減った』って
言い出すんだよ君は。」

「言わねぇ。」

「言うんですー、いつもそうなんですー。
突然言われたら困るのは私の方なんですー。」


ベッドへと引きずり込まれながらの言い合いは
ドローかと思ったところで
思いがけぬ力業に一本取られた



「ずっと一緒だって約束したばっかだ…。」



抱きこまれながら呟かれた正論

いやいや、正論じゃないよ
これは屁理屈ってヤツだよ

まだ眠たいのか焦凍の声はとろんとしてる
寝ぼけたまんまでこの破壊力
起きてたらきっとノックアウトだったに違いない

とか考えながら既にベッドの中で和んでいる私は
情けないことに負ける気満々


「じゃぁ、もうちょっとだけ寝たら起きようね…?」


こんな焦凍に勝てっこないもんね
サラサラの髪を梳きながら手を頭の後ろに回して
今日の予定に胸を弾ませ、おでこにキスを落とす

体育祭が終わったら
どこかに遊びに行くって約束だ


(どこ行こっかな…
お買い物かなー…?)


どこか行くときは大体私が決める
焦凍にも毎回尋ねてはみるけれど
返事は決まって『どこでもいい』だもんね

だから今日も同じように
自分で計画を立てるつもりだった

のだけど…


「なぁ…今日行きてぇトコがあるんだが
一緒に来るか?」

「お?! 焦凍が?
行く行く! 絶対ついてく!」


もはや
「お出かけの約束してたのになんで一緒に来るかなの?」
なんて疑問は飲み込もう。

珍しく焦凍が行きたいトコがあるという
驚き以上に嬉しくて
寝かしつけるように撫でていた手で頭を叩き
覚醒へと誘った。


「ほら起きて! 早く行こう!」

「いや、ンな早く行きゃ良いってとこでもねぇ…んだが…」

「いいからいいから!
気が変わんないうちに、早くっ!」


それがどこかなんて知りもしない私は
上がった機嫌のままに腕を引き――…

当然といえば当然なんだけど
日を受けた彼の姿に身も言葉も固めてしまった


「お前の照れる基準がわからねぇ…な。」


静かな部屋に焦凍の言葉一つ
日に晒され
溜め息と共に溶け消えていく


そこには本当に
力一杯同意だ。

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