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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第35章 【空色】勘違いパンデミック




「おら、立てや…。」


ズイと目の前に立ちはだかった爆豪は
大きなため息をつきながら頭を掻いた

意中の女に手を差し伸べ
今度こそ見下ろしている
恐る恐るその手を取るハイリを
見ては逸らし、逸らしては見るを繰り返す

自分に固定された亜麻色の視線は
下から控えめに注がれていた


「あの、お話…は……」


最期まで綴られなかったハイリの言葉の意味が
教室内に充満する

言葉の続きだけでなく
爆豪がなんと言わんとしていたのか
崩れた小山の殆どが把握していた。


頑張れ爆豪、気持ちはわかる
告白なんざする空気じゃない

だが言っただろ?
ハイリちゃんは何もしらねぇんだ


(せめて誤解だけでも解いておけ!)


切島は切に願う
そして思う

クラスのど真ん中
公開処刑もイイトコだ

だけど今を逃したら
次いつになるかわかりゃしない

いつも用心棒の如く側について離れない
轟が居ない今、この時がチャンスでもある

何よりハイリのこの顔


「爆豪くん…?」


不安気な顔に僅かに混じり始めた怪訝な表情
目がそろりそろりと泳ぎ始めている

見やるは廊下へと続くドア
きっと気にしているのだろう…
今、ここに居ないご主人様を

困り果てているハイリがもう一度口を開く


「あのね…答えたくないなら、答えなくても良いんだよ?」


ちょっと気になっただけだから…と

さあ爆豪
告白しろとまでは言わねぇ
だがせめて…

願う友が爆豪の背を押した

トン、と一歩踏み出た足
押し遣られたハイリは片足一歩分下がる

絡んだ視線、距離は15cmと言ったところだろうか
反射的に上がった少女の両手が頭を庇った


苛!!


見えた
その文字が見えた

ブツリと鳴ったのは血管が切れる音
いつもの爆豪だ
間違いねぇ

当然上がった声も


「こらテメェ…
何庇っとんだクソが…。」


いつも通りだ。

調子を取り戻した爆豪はやっと口を開く
いつもの如く右手がBOOMと火を噴いた


「テメェがとんっでもねぇ勘違いしてっから
めんどくせぇ事になっとんだろうがッッ!!」


安堵の息をついた者半数
やっぱり言えないかと落胆した者半数

どちらにも乗る事が出来なかったハイリは
ただその小さな頭を傾げて見せた。

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