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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第29章 【空色】心温


~Sideハイリ~



――土曜日 AM11:30



しばしのお別れの時は
予想より、だいぶ遅い時間だった。







「じゃあな。」

「うん、月曜日にね。」








午前中には出ると
それだけ聞いて手を付けた朝食

食べる速度は速かった分
口数は少なかった様に思う

少しでも沢山話したくて
急いで食べたというのに
本末転倒だ。


(午前中って何時だろう?)


気になるけど聞けなかった
聞いてしまったら
その時間がすぐ来てしまう気がして

出来るだけ考えないようにしながら
他愛ない話に哀色の花を咲かせていた。

9時を過ぎて気はそぞろに
10時を過ぎると焦凍より時計と目が合う事の方が多かった。

11時を過ぎて
もしかしたら午前中ってのは嘘なのかなって
都合のいい期待が生まれた頃

頭の上にポンと手が乗った。


「そろそろ帰る。」

「うん。」


午前中、出来るだけ一緒に居てくれたって事
わかってる。

だけどそんな時間ってあっと言う間で
時計なんか見るくらいなら
焦凍を見てればよかった…
なんて思ったものだから




とりあえず今見てる。




「そんな目で見られると帰りづれぇな。」




そんな目ってどんな目だ。

僅かに下がった眉
柔らかく細められた目
緩く上がった口角

困った奴だ
とでも思われてるんだろうか?

よくよく考えたら
随分表情を見せてくれるようになったなと
いつもなら嬉しい事象が
今は寂しさを加速させる動力にしかならない。


「捨てられた仔犬みてぇ。」

「捨てたらダメ。」

「例えだ、例え。」

「わかってるっ。」


茶化す声にフイと顔を逸らす
途端にちゃんと笑えているのか
不安になった。

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