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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第26章 【空色】躁と鬱


~Sideハイリ~


「わかってんなら
先に半分野郎と話付けてから言えや…。」

「はいッ!」


青筋たってるし
目は座ってるし
声は低すぎて掠れてしまっている

怒鳴られるよりも
こちらの方が相手を威圧することが出来るのだと
初めて知った。

だけど不思議と
相手が爆豪くんだと平気なんだ。

正論だし
いつも怒ってるし
いつも怒ってるし
いつも怒ってるし

いつも…怒ってる?
あれ?

でも最近あまり怒ってないというか
この人の怒ってるは
怒ってるじゃないんだ

これが普通で
怒ってるどころか心配してくれてる。

今や私の事を客観的に見てくれる人は
爆豪くんくらいなんじゃないかな。

これらを踏まえると
さっきの反論も私の為なのだろう

そう、勝手に思う事にした。


(不思議だ、爆豪くんと居るといつもの自分だ。)


マイナス思考でもない
臆病でもない
頭もだいぶスッキリしてる。

気付けば爆豪くんは真っ直ぐ私に身体を向けていて
真面目に聞いてくれたのだという事実が
嬉しい以上に胸をチクチク刺してくる。

やはり早く決断すべきことだったのだ
冷静にそう思えて視線を自分の手元に逃がした。

顔を上げろと呼ぶ音は
カンッと鳴った高く固い音

いつの間にか立ち上がった爆豪くんが
フルーリーのカップを握りしめている

恐らくテーブルに叩きつけた音だろう。

中身は空

殆ど溶けてしまっているそれを
ジュースのように飲み干した事は簡単に想像できた。

自分に例えていたソレは
今や底にふやけたチョコチップを数個残すのみ

ようやく向き合って貰えたようで
堪らず吹き出してしまう。

そして案の定怒られるのだ。


「ッるせぇっ!」


いや、煩いのは
注目を集めてるのは間違いなく君だ。

照れ隠しか、気まずいのか
こっちを向いた背中は去り際に問いを投げた。


「どんくらい悩む気だ?」

「遅くても体育祭までには決めようと思う。」

「………わぁった。」


ぼそりと呟いた背中がもう一言付け足して去っていく。

僅かに振り返った横顔はよく見えなかったけど
その声音に固まって返事もできなかったけど

多分、笑ってた気がする。















「体育祭後、俺も話してぇことがある。
時間作っとけや。」














…………多分。
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