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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第24章 【空色】インフェリオリティー コンプレックス 


~Side轟~


翌日は臨時休校となった。

あれだけの事がありゃ当然の措置と言って良いだろう。
それでも一日明けた今日
何事も無く登校する…ってのは


(ま、無理だよな。)


俯きながら歩くハイリは
目の前の木が見えてねぇんだろうか。

その距離歩幅3つ分
歩く速度が落ちねぇ所を見ると…


(気付いてねぇなこれは。)


声も掛けずに腕を掴んで引き寄せる。
掛けた所で意味ねぇからだ。

こんな行為も、もう慣れた
呆れる事には未だ慣れねぇが…。


引き寄せられたハイリは
相も変わらず俺の行動を気に留めず歩幅を変えやしねぇ。


つまりまた…考え事だろう。


どうもこいつは
一度思いに耽ると文字通り周りが見えなくなる。

色んな意味で目が離せねぇ

今日の悩みの原因は大体予想はついてんだが
こればかりはいくら悩んだところで
もう、どうにもならねぇと思う。





























それは昨日の事

見舞った人物の病室で
ハイリは院内ではあり得ねぇ程の大声を張り上げた。


『今から学校に行くぅ!?
バカなのっ!?』


らしくもねぇ口調からして
相手は言わずともわかるだろう

担任、もとい、兄と慕っている男に向かってだ。

その形相は俺に見せるものとはまた違う
気を許した相手への物。
紛れもねぇ、妹の顔だった。


『ちょっと消太くん!?
人の話を…こら、起きないで! 寝てなさい!』


キャンキャン説教する様は
いつもと大して変わりはしねえ。
自分の倍の人生を生きて来た大人に対して
母親のように説教を垂れる。

無茶ばかりするどうしようもない兄に対し
しっかり者の妹を醸し出さんとしている自分の彼女に
前日の泣き顔を思い出し、呆れる自分がいた。


(素直じゃねーな…)


眉を吊り上げて
ミイラのような姿へと化してしまったその兄貴を
ベッドへと押さえつける。

それでも
なんだかんだと言いながら、言われながら
結局頭を撫でられて頬を緩める。

なんであいつが頭を撫でられると大人しくなるのか
その時、ようやく理解できた。


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