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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第16章 【琥珀色】CT knock




ブツリ
そんな音が聞こえたかのような瞬間
いつもは柔らかく伸びの良い可憐な声が
波紋を広げる超音波のように室内に響き渡る。


「…っいい加減にしなさーーーーーいっ!!!」


彼女の“個性”はイルカか蝙蝠だっただろうか?
室内のガラスがガタガタと音をたてて震えている。

上がった一声は
今日は一段と凄まじい。

だがこれで治まる。
一山超えて、あとは彼女が説教をするだけだ。


「二人の喧嘩に私を巻き込まないでって言ってるでしょ!?
大体ね、いつも私を仲間外れにして喧嘩ばっかりしてるくせに、なんで最後は二人して仲良く私を責めるのっ!?」


ハイリの説教にツッコミどころなら山ほどある。
元はと言えばお前の勘違いが原因なのだと。

両手をバタバタとはためかせているのは
二人の視界に入ろうと主張しているのだろうか
平均的な女子高生の身長も男二人に囲まれては
その腕しか見えやしない。

伝わって来る
伝わっては来るのだ
轟を取られまいと二人の間に入るのに必死なのは痛いほどに。


(違う!!)


皆の心中は同じだった。


「誰かそろそろ教えてやれよ…。」


瀬呂が小声で提案する。


「気の毒だが致し方なかろう。」


常闇が首を振り
問題の3人を顎…ならぬ嘴で指した。

キャンキャンと吠えるハイリに
散らしていた火花を収める男二人。


「「…………。」」


そう、この二人を収められるのもハイリのみ。

真実を彼女に伝えたとして
男二人の関係は変わらない。
それどころか悪化しかねない。

クラスメイトがハイリに対して
未だに事実を告げられない理由の一つがこれである。


その様、例えるなら
仔犬に頭が上がらないライオン


皆は思った。


もしかしたらクラスで一番強いのは
ハイリなのかもしれないと……。


彼ら3人の複雑すぎる三角関係は
もう暫く…続きそうだ。


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