第14章 【琥珀色】後天性片想い
~Sideハイリ~
あの日、あの勝負の後
私の手を引いて起こしてくれた爆豪くんは
両手をだるそうにあげた割に、大きな声で言った。
『降参だ。』
『…………はい?』
皆に聞こえたのかはわからなかった。
だけど両手を上げれば、流石に見て取れたのだろう。
たちまち皆が押し寄せてきて、
眠気全開の私は「どうして?」と問えないまま
気付いたら全て丸く収まっていた。
圧倒的実力差だった上、
爆豪くんに対しては負けも宣言したのだ。
一番納得できていないのは間違いなく私だ。
なんで皆が納得できるのか
寧ろ疑問で仕方がない。
尋ねてみたけれど、みんな口を揃えて同じことを言う。
「何の問題もない」と。
焦凍に至っては
含み笑いが返ってくるだけ。
こうなってしまっては
もう問いようが無いと言うもので…
(……なんで?)
確かに誰一人除籍される事無く収まった。
事を荒立てて
被害を増やすのもどうかと思う。
だけどなんだろう…?
この形容しがたい空気読め感…。
(大人だな、爆豪くんも皆も。)
同じ歳の子に対して
大人の都合を感じたのは初めてだ。