第12章 【桜色】ヨマイヤマイ
~Sideハイリ~
淫らな自分の声が響く。
粘着質な水音が
肌を打ち付ける湿り気のある音が
雄英高校ヒーロー科
未来をその肩に託されるであろう生徒が学ぶ、この部屋で。
その中でも間違いなくトップクラスであろう生徒が
誰もいない教室でこんな事をしているなんて
一体誰が想像できるだろうか――……
「昨日より熱いな、乱暴にされんの好きなのか?」
「あっ…っ…そ、じゃ…なくっ…てぇっっ」
何度も後ろから突き上げられては
愉し気な声音が耳を犯す。
右手を壁につき
左は後ろへと捕らえられ
抵抗したくなる程恥ずかしいこの状況も
与えられる快楽には抗えない。
教室だから。
誰かが来るかもしれない。
そんなこと
とうに頭の中から消し去られていた。
「っそれとも…ここだからか…?」
「っ…んんっっ…」
一段と深く突かれた後
髪を片方へとかき上げられて
露わになった耳に吐息が触れる
ピタリと背につく肌は、燃えるように熱くて
キリと噛まれた耳たぶの痛みなんて
全く感じられない程。
(もう私は痛覚まで狂っているんだ…。)
息をするのがやっとの身体は
もはや酸欠状態に近い。
生理的に滲む涙をこぼしながら
声にならない声を上げる。
昨日と違ってどこか荒々しい打ち付けは
場所も相まって
私の思考も言葉も容易く奪った。
「お前に痕付けていいのは
俺だけだよな…?」
言い聞かせるように耳の後ろから落ちてくる。
その言葉にただ首を縦に振り
どんどん昇り詰めていく。
焦凍が何故こんな風になってしまったのか
ようやく知ることが出来たと言うのに
快楽に飲み込まれるまま
抗いようの無い熱に揺れることしか出来なかった。