第10章 【桜色】二重カルテ
~Sideハイリ~
「やっぱり私、片思いみたい。」
そう言う私に焦凍は納得できていないのだろう。
仕方がない…そんな顔で笑って
頭を撫でてくれる。
(付き合ってから経験するとは思わなかったよ。)
片思いを実感する間もなく付き合うことになってしまった。
だけど
順番めちゃくちゃな展開で実を結んだ私の片想いは
付き合うことになった現在でも継続中らしい。
それがなんとも、私たちらしいとも思う。
春の風に乗せられて
残り少ない花びらと共に私の心もくるくる躍る。
踊らせているのは無論、この人だ。
「好きだ。」
「……ん!?
突然どしたの!?」
「いや、片想いとか言うから
もしかして未だに伝わってねぇんじゃ…と。」
「いや、そーゆー意味じゃなくてね……?」
片思いで両想いの私の彼は
いつも余裕で翻弄してくれる癖に
肝心なところはボケているよう…。
真面目に心配してるところが
ちょっとかわいいと思ったり。
きっとこの片想いは
終わりを迎えないんだろう
この先ずっと、ずーっと
お陰で、私の悩みも幸せも倍増しだ。