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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第10章 【桜色】二重カルテ


~Sideハイリ~


4日目の朝は穏やかとは程遠いものだった。


「なんでギリギリになって寝るかなぁ…っ。」

「寝ちまったモンはしょうがねぇ。」


結局あれから、日が昇るまで寝かせて貰えなかった…。
これはもはや、このまま起きてた方が良さそうだ
そう結論付けた1時間後に寝るなんてっ!

涼しい顔をして走る焦凍にとっては
なんて事無いんだろうけど、私は結構辛い。
睡眠不足もさることながら、痛いのだ…腰が。


「抱えてやろうか?」

「いや、大丈夫。」


正直なとこ結構辛い…でも言えない。
この人なら本当に抱え兼ねないもの。

昨夜はいくらか素直になれた私だ。
だがしかし、やはり人目のつく所では節度を保ちたい。

結い損ねた髪を耳にかけながら
ゲートまでの並木道をひた走る。

少し不満気な焦凍の目がちょっと痛いけど
たぶん…間違いなく私の方が正しいと思う。














「せーふっ!」


席に着いたのは予鈴5分前
机の上に突っ伏して息を整える私に、クラスメイトが声を掛けてくれた。


「大丈夫? 保健室行く?」

「へぇき…バテてる、だけだから…っ。」


言いながらも顔を上げる元気はない。
手だけ挙げてくたくたと振る、
誰が見たって大丈夫には見えないだろうけど
くくるちゃんは察してくれたみたいだ。


(いい友達を持った…今日こそは平和に過ごしたい。)


いい加減授業とか授業とか色々ヤバい。
気を引き締めて臨んだ4日目の願いは
朝のHR中に虚しくも打ち砕かれた。













「楠梨…お前の席はA組だろう?」


HR中に廊下へ呼び出されて突き付けられた現実

私も呆けたけど
担任も呆けてた。


「…………はい?」

「連絡…聞いてないのか?」


確かに
よく考えたら昨日帰ってからスマホは放置したままだ。
だけどこんな事画策する人間なんて
あの男しかいない。


「いえ、私が勘違いしてただけです。
すみません。」


クラスメイトへの説明は担任がしてくれるらしい。
全くもって自分の目的のためなら周到な人だ。

内心感心しながら鞄だけを手にC組を出る。
目指すはA組

こうまでされては流石の私も…色んな意味で腹をくくった。




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