第9章 【桜色】カレカノ依存症
~Side轟~
昨日の痕と同じところに吸い付き
徐々に下げていく
唇が触れる度にこぼれ落ちる声は甘く、高い。
「ひゃ…っ…んっ」
声が鼓膜をくすぐる度に煽られちまう。
一つ一つの反応を見る事を、既に俺は楽しんでいた。
まるで初めて触る楽器みてぇだ
何処が一番高いのか
どうすれば甘くなるのか
時折理性が戻ったみてぇに声を我慢する姿にも煽られる。
自らの口を塞ごうとする手を捕らえて
ベッドへと縫い付けると、切なげな視線が寄せられた。
「我慢しなくていい。
声聞きてぇ…。」
「っ…でもっ…」
「いいから…」
チラリと視線が向けられたのは
隣人の部屋とを区切る壁だった。
隣に聞こえたら、と危惧しているんだろう。
(ハイリらしい…)
周りを気にする余裕がまだあるって事だ。
「そんな余裕、すぐに無くしてやる。」
「…ぁっ…や…っん」
背に手を入れるだけで身を仰け反らせ、肌を震わせる
そんな姿にゾクリと背中が粟立った。
直接撫でた肌は滑らかだ
少し力を入れるだけで折れちまいそうな体は
柔らかく熱い。
柔らかなふくらみに
舌を這わせながら背のホックを外す
肌を隠す布を1枚取り去る度に
俺の理性も壊れていくようだ。
「やぁっ…だめっ…」
息も絶え絶えに
いつもの半分程しか開いてない瞳は
熱い涙で濡れている。
初めて出た否定的な言葉に、続けていいものか一瞬躊躇したが
俺のシャツを掴んで離さない姿にそんな考えは瞬時に吹き飛んだ。
(怖がっている訳ではなさそうだ。)
そうは思っても
もはや自分の判断力すら危うい所まで来ちまった。
今「ダメ」だと言われても
俺はここで引けるのか?
答えなんざとっくに出てる
かろうじて残る理性が押し留めてるだけだ。
もう、押し留められているのかすらわからねぇ
理性を覆い潰す欲
僅かな理性から目を逸らす様に
自分の服に手を掛けた。