第8章 【桜色】パニック &ぱにっくシンドローム
ハイリが言い表せぬ不満をその胸に抱いていた頃
雄英教師陣は、不穏な空気に包まれていた。
「……ゲートが?」
「ええ、粉々だったんですよ。」
昼のマスコミ騒動
その混乱に乗じて破壊された分厚いゲートの扉は
砂利のごとく粉々に…
目の当たりにした者も
後から聞かされた者も
当校の警備体制の厳重さを知るからこそ絶句した。
ただのマスコミにそんな事出来るはずもない。
「校長は何と?」
「そそのかした者がいるのだろうと…。」
邪な者が入り込んだか
もしくは宣戦布告の腹づもりか…
現場でそう呟いた校長の言葉を聞かされ
その男は席を立つ。
もう少し時間を掛けるつもりだったが
そうも言っていられなくなった。
(幸い今朝、下地は整えた。)
あまり鳴ることのない携帯が今日に限って
やけに煩い。
誰からの着信かも確かめずにソレを放置したまま
次の算段へと移るべく漆黒の衣を翻す。
やや強引な手になってしまうが仕方ない。
また憎まれ口を叩かれるのだろうと一つ笑い
目的を果たすべく歩を進めた。