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迷い道クレシェンド【HQ】【裏】

第64章 【番外編】狭い小さな檻


傷を舐め合うようなキスにすら反応する冷えた肌。
湯から上がったばかりのはずだった、布1枚纏わずにそのまま冷えた部屋で触れ合う。
体内は燃えるようだが、表面はどんどんと冷えていく。
だが、熱さを紛らすには、丁度いい。

もうすっかり余裕のない呼吸だというのに、未だ愛おしそうにパサついた髪を絡められる。
噛みつくかのように首に口付けると、相変わらず強すぎる香り。
肺にめいっぱい溜めようと吸い込むと、息遣いにくすぐったそうに笑う。
耳馴染みのいい吐息と声。
なんとなくそれが気恥ずかしく、黙らせるように犬歯を立てて囓る。
「ひぁっ」
痛そうにも気持ち良さそうにも聞こえる悲鳴を上げ、切なそうに歪んだ瞳をこちらに向けてくる。
肺に詰まった香りのせいか、味蕾が刺激されてか、甘味を感じた。

そのまま改めて口に貪りつく。
粘膜に敏感にも感じた身体から、より一層強く匂う。
ほんの、舌先を合わせるだけの行為。
それなのに、余裕なく肩と脚が揺れる。
もぞもぞと物欲しそうにるるの手が這う。
深いキスをしたらどんな反応をするのか、好奇心に流されながら歯が当たりそうな程の、激しく、深いそれに切り替えた。
「ん、んぅ…っ」
漏れる声、身体を這う綺麗な指先が、柔らかな白い腹に爪を立てる。
何もない寂しい奥を誤魔化しているようだ。
目をぎゅっと閉じ、果てたことを知らせた。
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