第59章 【番外編】帰ったら覚えとけ
陸上競技用の使われていないマットに倒れると、むわっと埃が舞った。
キラキラ太陽に反射するそれは、ダイアモンドダストみたいで少し綺麗。
少し汗くさいけれど、煙草のにおいで気にならない。
ゆっくり、狭い布から指を差し込んで、もうすでに固くなってしまった一番敏感な部分を触る。
「あ、あっ…」
なるべく声を小さく、口元を抑えながら、少しずつ滑りけを掬っては塗るようにして慰める。
「ん、あぁ…や、ん」
いつもシてくれる動きを少しずつ思い出しながら、肺に彼のにおいを溜めていく。
「やぁあっ…あぁん…」
ひくひく、と爪先までに力が入って、やっと一回迎えた。
「はぁ、あ…」
指を真ん中に侵入させていくと、いつもとは違う感じで、なんとなく、戸惑う。
「んん、もっとぉ…」
もぞもぞと布を動かし、指の動きを速めていく。
自分で慰めてみると、案外わからない自分の弱いトコロを漸く突く。
「ひぁあっ!」
水がじわりと溢れ、下着と指を濡らした。
「ん、あっ、あっ…!」
攻め立てられているように突き、速く果ててしまいたいと、いつもの戯れを脳内で流した。
「やぁ…!け、しんさん、あっ…!
すき、すきぃ…っ!!」
もう少しだと、激しく抽送を繰り返し、時折浅いトコロを引っ掻き、頭が白くなる準備を整えた。
「あっ…!いっ、いっちゃ…」
「おい、掃除にいつまで」
引き戸を開けられ、二人して固まる。
いや、固まらない訳がない。
彼女が自分のジャージで1人で遊んでいるなんて、さぞ、気まずいだろう。
自分でやっておきながら、全力で心のなかで同情する。
「や、あの、悪ぃ……」
「ま、待って!」
あまりの気まずさに、突っ込みすら入れてもらえず、思わず引き留めてしまった。