第59章 【番外編】帰ったら覚えとけ
繋心さんの手伝いもあって、高校の部活に顔を出していた。
相変わらずマネージャー不足らしく、細々とした雑用を終わらせていた。
変わらず隣から聞こえてくる怒鳴り声が心地いい。
バイトの給料日だったのをふと思い出して、何か差し入れをあげようと少し遠いけどコンビニまで向かった。
おにぎり数種類を少しずつ取り、自分のおやつもちゃっかり買って戻る。
帰り際に配ろうと、エアコンの効いたお部屋に置かせて貰った。
「おい、どこまで行ってたんだ?」
「あ、ごめんなさい、おやつ買ってました」
と笑うと、仕方ねえな、と呆れられる。
動いているうちに、段々と体育館が蒸し暑いのを感じてくる。
「差し入れ、アイスの方がよかったかなー…」
と用具入れで1人ごちた。
「腹に入れちまえばなんでもいいんじゃね?」
独り言を聞かれた恥ずかしさで、舌を出して笑うと、額を指ではじかれる。
「いっっ!」
「勝手にどっか行くなって」
「ごめんなさい」
繋心さんは言うだけ言って、私にジャージを投げつけて戻っていった。
久々に怒られたのが少し嬉しくて、ついニヤニヤしてしまう。
(気を引き締めねば…)
と言い聞かせつつも、手元にあるジャージがまだ温かい。