第52章 【番外編】春眠暁を覚えず
「抱いてやる、来い」
持っていたものを放り投げ、じくじくと音を立てながらイキっていたモノを捩じ込んだ。
数々の昇天ですっかり熟していたソコは、いつもよりも激しく求めてくる。
「はぁぁっ、あぅ、…あっ、あ…っ!」
無機物から解放され、生き物を受け入れる快楽は、さぞ深いものだろう。
喘ぐ余裕もなく、ただの圧迫感に合わせての声が出てくる。
「そんなにイイか?」
「う、んっ、…も、きもちいい、あっつい…っ!
あっ……」
「そんな静かにヨガるんじゃ、わかんねえよ」
奥深くの入り口をごりっと抉る。
「うぁぁぁ…!!あっ、あっ、らめ、らめえぇぇっ!!」
さっきの悲鳴のような声ではなく、甘く鼻にかかった嬌声。
「やっぱ、お前は俺じゃないとダメだなっ」
「ぁぁん、いいっ、い、んんっ!
けーしんさんだけ、はぁ、きもちいいのぉ…っ」
泣きながら求めてくるその姿を見て、なんて酷いことしたのか、と後悔の波が押し寄せた。
とはいっても、それでも、辛抱出来るほどの忍耐力もなく、結局いつもと同じように一晩を過ごしてしまった。
「つーわけで、やっぱ飲む系の方が俺としては」
「くそ、バカップルかよ……」
「繋心さん、次の指示は…」
春休みに、バイト先をこっちにしてくれたるるが話し掛けてくる。
「あ……!!たっつぁんさん…!!!」
「なんか、警戒されてる?」
「ま……してるかな」
まるで人見知りの猫のように、るるは毛を逆立てて真犯人を睨み付けるのであった。
「何、なんて言ったの?」
「……いや、特には……」