第11章 おやすみも おはようも 君と
「エルヴィン、無理しないで」
「ん…だいじょ、う、ぶ…」
ここ最近、いろいろと立て込んでいた。
そのせいでデートはおろか、二人で食事をとることすら叶わなかった。
外食じゃない。兵団の食堂ですら、だ。
だから…だったらいっそ、やってやる。
そう思った。
うず高く積まれた書類の山も、片っ端から片付けた。
次から次へと舞い込んでくる会議だの夜会だのの招待も、隙間なく予定をつめた。
そう、がむしゃらにこなしたんだ。
それこそ不眠不休で。
お陰でこうして、思っていたよりも早く、君と二人きりになれた。
それなのに……
「……だい……ぶ…」
「大丈夫じゃない。
着替えてベッドに座ってからずっと、舟漕いでる」
「ん……そんな、こと……」
「眠いんでしょ?
ほら、横になって」
「でも、ナナバ、君と……」
「だめだよ、今日はもう休んで」
…そんなことしたら……
「邪魔しない様に、
エルヴィンが寝たら、私帰るから」
ほら。
君は優しいから、そうやって気を使ってくれる。
それは分かる、分かるよ。
でも…
「…君が、いない…嫌、だ…
…なら、寝ない…
…ね、ない……」