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ハイキュー!! 冬休み企画!!

第11章 冬の温もり


『でも、今はまだ···言わない事にする。頑張って夢のカケラを掴むことが出来たら、その時に牛島君に聞いて欲しい』

「なぜ、今はダメなんだ?」

自分の事を押し込みそう言うと、池田はゆっくりと2回瞬きをして顔を上げた。

『今のままじゃ、牛島君につり合わないから。だって牛島君、バレー部のスーパーエースだって天童君が言ってたし』

「天童?」

『そう、天童君。もしかしたら私が夢のカケラを掴んだ時、牛島君は今よりもっと有名人になってるかも知れないけどね?』

笑顔で言ってるが、それがムリして笑顔を作っている気がしてチクリと胸が痛み···その小さな肩を抱き締めた。

『あ、え?!···牛島君?!』

「頑張れ。自分が目指した者を掴み取るまで、精一杯···頑張って来い···」

そしていつか、と言おうとしたところで池田がオレの背中に腕を伸ばし···ハッと息を飲む。

「池田?」

『いつもビックリさせられてるから、お返し』

「···そうか」

『もう、行くね。タクシー待たせてるから』

そっと体を離して、オレに背中を向ける。

少しずつ離れて行く後ろ姿を、オレは黙って見続けた。

何か、言った方がいいのだろうか。

それともこのまま、何も言わない方がいいだろうか。

迷いながら、グッと拳を握る。

『牛島君!』

立ち止って振り返る池田が、オレを呼んだ。

『ありがとう!それから···頑張ってね、若利君!』

不意をつかれて呼ばれた自分の名前に驚きを隠せず、だだ黙って···利き腕を軽く上げて応える。

その姿を見て、今までで一番の笑顔を向けると、池田は車に乗り込み行ってしまった。

これで、良かったんだ。

そう自分に言い聞かせて空を仰ぐ。

この時期特有の曇天が、どこまでも続いていた。








天「若利クン!ちょっと?若利クンってば!」

「なんだ、天童」

天「なんだじゃないヨ!急に黙り込んでボケっとしちゃって!」

「すまない、考え事だ」

天「若利クンが考え事?めっずらしィ~!って言いたいトコだけど、どうせハルのコトでしょ?」

勘のいい天童の言葉に、思わず箸を落としてしまう。

天「あれ?もしかして当たり?!」

箸を拾いながら、ニマニマとする天童をチラリと見る。

「さぁな」
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